油性かUVか ─ 本機校正 ─
皆さん、大変ご無沙汰しております。ブログを放置しっ放しで申し訳ございません。
昨年末新しく導入したEQUIOSのジョブ運用のシステム構築や、印刷機の入替にともなう印刷テスト等で余裕がありませんでした(言い訳)
EQUIOSに関しては話し出すと長くなりますので、また別の機会にじっくりと書きたいと思います。
1年程前からLED-UVの印刷テストを、小森コーポレーションの協力で、何度か実施してきました。
小森さんは戦略的にH-UVを主力として業界をリードしていますが、弊社は本機校正が主体なのでH-UVのランプよりLEDの方がメリットが大きいのです。
本機校正ですとランプの照射が必要な時間は、特に短いですからね。
また弊社の本機校正や小中ロット印刷において、厚紙や特殊原反を扱うことはほとんどありませんから、品質やランニングコストを考えると、LED-UVが適していると判断しています。
ただUV印刷は油性インキに比べ瞬間硬化のため、油性より光沢などの品質面が問題視されてきました。
最近では高感度UVインキが進化したため、油性インキに迫るレベルまで品質が改善されています。
それでも品質を判断する上で重要な、光沢や質感においては
油性 > LED-UV > H-UV
の構図は変わっておらず、「速乾・パウダーレス」という夢のような印刷技術をなかなか導入できずにいます。
LED-UV印刷のテスト結果ですが・・・
結局今回は採用を見送ることにしました。
その判断材料となった要因の一例を、少しだけ紹介しますと
例えば、上質紙でその差は歴然!
まずは弊社の現行の印刷物(油性インキ)ですが、上質紙の質感や風合いがきちんと再現されています。
下の画像は、私のスマホ(Xperia Z3)で撮ったものなので、画質がいまいちでちょっとわかり難いとは思いますが・・・
次に下記画像はLED-UVで印刷したものです。
DICのLED-UVインキはかなり優れてまして、ベタの色彩値は油性に限りなく近似しており、1回だけの調整(ドットゲインを合わせた)で色調は⊿Eが2未満まで容易に追い込むことができました。
しかし画像をよく見てみると、紙の質感が損なわれており、不自然なテカリが目立ちます。
例えが悪いですが、わかりやすく言うと「アイロンプリント」のような質感で、上質紙の上にセロファンみたいなものを熱転写した紙にしか見えません。
インクジェットやトナーなどのデジタル印刷機も、このような大きな課題を抱えていますよね。
とは言え、従来のUVよりは大幅に進歩していますから、近い将来H-UVやLED-UVがオフセット印刷のスタンダードになっているかもしれません。
なので大変優柔不断なのですが、今回新たに導入する印刷機は、LED-UV化改造が簡単にできるような仕様で、油性インキ仕様の印刷機に決めました。
現在稼動している印刷機はLS-440
今月末(2015/04/30朝)まで稼動し、4月30日の午前中には解体が始まります。
少し寂しいですね。
5月2日の朝から搬出してしまいます。
5月3日に搬入する印刷機は小森のLA-537
メーカーでは40インチと差別化するために「A全判オフセット枚葉印刷機 リスロンA37」としていますが、実際は菊全判の用紙が普通に刷れる優れものなんです。
しかもFull-APCやツボ・インキローラー温調、紙サイズプリセット、インキ・ブラン・圧胴自動洗浄など、生産性や高品質を再現する為、完全にカスタムしたフルオプション仕様です。
最近では、自動車も室内広々なコンパクトカーや軽などを、より豪華にするのが流行っていますが、印刷機も同じようにコンパクト化が進んでいるのかもしれません。
印刷機は実質6日間も休止してしまい、お客様にはご迷惑をおかけしてしまうため、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
5月11日(月)からは本格稼動ができるよう全力で努めますので、今後とも弊社の本機校正や小ロット印刷をご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます!
CTPもPT-R8800からPT-R8900に入れ替わりますが、5月7日(木)には動き始めると思います。
ちなみに今度は4色ではなく5色機ですので、OPニスや特色にも順次対応し、より高品質な本機校正や小ロット印刷をご提供できるよう取り組んでまいります。
紙厚も現行の0.3mmから0.6mmに拡大しますので、ご期待ください。